いかにしてテンバガーを成し遂げられたのか monotaR(3064)

monotaRO テンバガー

monotaROはどの程度あがったのか

テンバガーの銘柄を掴むにはまず、テンバガーになった銘柄を調べる必要がある。
それではmonotaROを見ていこう。

monotaROは2023年8月31日時点の終値は1,722円である。
上場時の2006年12月末の(修正)株価は29.3円で約58倍。
底値圏である2008年1月末の(修正)株価は8.2円で約210倍。
とすざまじい上がりである。

このようにどうしてあがったのかを検証していく。

直近のmonotaROの指標

まず直近の指標をみる。

直近の2006年12月期

売上高2,259億97百万円
包括利益184億6百万円
PBR10.75倍
PER41.57倍
ROE28.4%
配当利回り0.86%
配当性向35.2%

現在の指標では、BPR、PERとともに高く、株価としては買われすぎを表している。
ROEは高い。資本を使って高い利益をあげていることがわかる。
しかし、配当回りは0.86%と低い。
配当性向は35.2%で平均的な30%よりは高いが、株が買われすぎによる株高が影響していると考えられる。

それでは、財務諸表の流れを追っていく。

monotaROの財務諸表

monotaROは2006年12月に上場しているが、過去の財務諸表は2013年12月期からみれる。

売上高、経常利益、当期純利益(包括利益)

毎期の売上高、経常利益、当期純利益(包括利益)および個々の率を並べると下記のようになる。

2013年2014年2015年2016年2017年2018年2019年2020年2021年2022年
売上3455744938575646964788348109553131463157337189731225970
売上原価24146320044023647752614197752594367112643135685160532
売上総利益10411129341732821896269293202737096446945404665438
粗利率30.1%28.8%30.1%31.4%30.5%29.2%28.2%28.4%28.5%29.0%
販管費652586111024012402150911379121256250862991639224
販管費率62.7%66.6%59.1%56.6%56.0%17.8%57.3%56.1%55.4%59.9%
営業利益3885432470889494118386373515840196082413026214
支払利息12131311696850352323
支払利息比率0.31%0.30%0.18%0.12%0.59%0.11%0.32%0.18%0.10%0.09%
当期純利益22892544444063508378936710751134731734018194
売上高純利益率6.6%5.7%7.7%9.1%9.5%8.6%8.2%8.6%9.1%8.1%

monotaROの株価

それでは株価の推移はどのようのものだったのか。
見ていく。

原株価

下記のチャートは、原株価の1か月終値の値を使って作った。
修正株価だと、当時の株価がわからないためである。

日付06/12/2907/12/2808/12/3009/12/3010/12/3011/12/3012/12/2813/12/3014/12/30
終値3770001310002310001062788816277821382451
日付15/12/3016/12/3017/12/2918/12/2819/12/3020/12/3021/12/3022/12/30
終値33752390360027182923525020731857

株式分割

monotaROは下記のように株式分割をおこなっている。

日付分割比率備考
2021/3/301 : 2
2018/9/261 : 2
2015/9/281 : 2
2013/4/181 : 2
2011/8/111 : 2
2010/8/201 : 2
2009/5/211 : 200単元変更:1株→100株


原株価のチャートと株式分割

原株価のチャートと株式分割を行った場所を表すと次のようになる。

上場の2006年12月から2009年5月まで1単元:1株でその後は1単元:100株にしている。
そのまま株価を折れ線グラフにすると変化が見えないため、2009年5月までの株価を1/100にしている。

財務分析

バフェットは、財務諸表から「経済的優位性を持つ企業」を説いている。
神戸物産は果たしてバフェッが説く「経済的優位性をもつ企業」に当てはまるか。

見る点として

  • 粗利率
  • 販売費及び一般管理費
  • 支払利息
  • 純利益

が挙げられている。
これらを見ていく。

10年間の財務諸表等

神戸物産の10年間の財務諸表は以下のようになった。
それでは、一つ一つ見ていく。

(1株当たり純資産は単位:円。その他は単位:百万円)

2013年2014年2015年2016年2017年2018年2019年2020年2021年2022年
売上3455744938575646964788348109553131463157337189731225970
売上原価24146320044023647752614197752694367112643135685160532
売上総利益10411129341732821896269293202737096446945404665438
粗利率30.1%28.8%30.1%31.4%30.5%29.2%28.2%28.4%28.5%29.0%
販管費652586111024012402150911379121256250862991639224
販管費率62.7%66.6%59.1%56.6%56.0%17.8%57.3%56.1%55.4%59.9%
営業利益3885432470889494118386373515840196082413026214
支払利息12131311696850352323
支払利息比率0.31%0.30%0.18%0.12%0.59%0.11%0.32%0.18%0.10%0.09%
当期純利益22892544444063508378936710751134731734018194
売上高純利益率6.6%5.7%7.7%9.1%9.5%8.6%8.2%8.6%9.1%8.1%

粗利率

粗利率は、28.2%~31.4%となっている。
バフェットは、「粗利率40%以上の企業を永続的競争優位性をもつ企業」としている。
なので、粗利率だけをみると、「永続的競争優位性をもつ企業」とは言えないだろう。

(単位:百万円)

2013年2014年2015年2016年2017年2018年2019年2020年2021年2022年
売上3455744938575646964788348109553131463157337189731225970
売上原価24146320044023647752614197752694367112643135685160532
売上総利益10411129341732821896269293202737096446945404665438
粗利率30.1%28.8%30.1%31.4%30.5%29.2%28.2%28.4%28.5%29.0%

販管費率

販管費率は、販管費÷売上総利益で算出する。
売上総利益に対し、どの程度の割合があるかをみるための指標である。

バフェットは、永続的競争優位性を持つ企業を探すときは、販管費が低ければ低いほどよい。
またそれが一貫して低く保たれていればなおよい。としている。

10年前は売上総利益に対する販管費の占める割合は62.7%。43.1%まで下がった期もあるが、徐々に減少したわけではなく増減している。
しかし43%~62%を推移しており、「一貫」しているといえるかもしれない。

(単位:百万円)

2013年2014年2015年2016年2017年2018年2019年2020年2021年2022年
売上総利益10411129341732821896269293202737096446945404665438
粗利率30.1%28.8%30.1%31.4%30.5%29.2%28.2%28.4%28.5%29.0%
販管費652586111024012402150911379121256250862991639224
販管費率62.7%66.6%59.1%56.6%56.0%43.1%57.3%56.1%55.4%59.9%

支払利息

永続的競争優位性を持つ企業の大多数は、支払利息をほとんど、もしくはまったく計上していない、という事実をバフェットは突き止めた。

支払利息比率は、支払利息÷営業利益で、営業利益に対しどの程度支払利息が占めているかを表している。

数字を見るとおり、見られる2013年から0.3%~0.1%とかなり低い数字になっている。
金融機関等から借入をしなくてもやっていける企業といえる。

支払利息の数字からも「永続的競争優位性を持つ企業」に当てはまるのではないだろうか。

(単位:百万円)

2013年2014年2015年2016年2017年2018年2019年2020年2021年2022年
営業利益3885432470889494118386373515840196082413026214
支払利息12131311696850352323
支払利息比率0.3%0.3%0.2%0.1%0.6%0.1%0.3%0.2%0.1%0.1%

純利益が右肩上がりか

バフェットは純利益が長期的に右肩上がりで推移しているかどうかを確かめる。
単年の純利益がどうかというのは、何の意味をなさないとしている。

また、永続的競争優位性を持つ企業は、競合他社に比べて、売上高に占める純利益の割合が高い傾向がある、としている。

当期純利益

当期純利益は下記で見るとおり、2013年は22億89百万円であったが、2022年は181億94百万円とか右肩上がりで上昇している。

売上高に占める純利益の割合

当期純利益は右肩上がりだが、6.6%から9.1%まで上昇したがその後は8%~9%をうろついている形である。

売上高純利益率は2017年からほぼ横ばいだが、当期純利益である金額は上昇している。
ここから「永続的競争優位性を持つ企業」に当てはまるのではないだろうか。

2013年2014年2015年2016年2017年2018年2019年2020年2021年2022年
当期純利益22892544444063508378936710751134731734018194
売上高純利益率6.6%5.7%7.7%9.1%9.5%8.6%8.2%8.6%9.1%8.1%

monotaROはなぜテンバガーを成し遂げられたのか

monotaROは粗利率は30%前後だったが、バフェットが言った永続的競争優位性をもつ企業の指標である「40%」までには達していなかった。

ここから、売上高の値段設定には永続的競争優位性を持つ企業の特徴である、高い値段の自由設定ができるまでには達していない。

しかし

  • 販管費比率は43%~62%を推移
  • 支払利息比率は0.3%~0.1%とほぼないに等しいほどの比率
  • 売上純利益率は6.6%~9.1%で右肩あがりというわけではなかったが、金額的には右肩上がりに上昇していた。

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