テンバガー銘柄はどのようにしてなったのか 神戸物産

神戸物産 テンバガー

神戸物産は、どの程度あがったのか

テンバガーの銘柄を掴むにはまず、過去のテンバガーがどのようになったかを見る必要がある。
ここでは、神戸物産をみていく。

神戸物産は2023年9月15日時点の株価は、3,701円である。
上場時の2006年6月30日末の(修正)株価の終値は、140.6円だったので約26倍。
底値圏である2008年10月末の(修正)株価の終値は、27.8円だったので約133倍
と驚異的な爆上がり銘柄である。

直近の神戸物産の指標

まず直近の指標をみる。

直近の2022年10月期

売上高4,068億13百万円
包括利益218億76百万円
PBR8.24倍
PER38.35倍
ROE24.30%
配当利回り0.60%
配当性向24.4%

現在の指標では、BPR、PERとともに高く、株価としては買われすぎを表している。
ROEは高い。資本を使って高い利益をあげていることがわかる。
しかし、配当回りは0.6%と低い。配当性向が24.4%で平均的な30%より低く、また株が買われすぎによる株高が影響していると考えられる。

それでは、財務諸表の流れを追っていく。

— 以降を見るには購入をお願いします。–

神戸物産の財務諸表

神戸物産は2006年6月に上場している。
しかし見れる範囲は2009年10月期からとなっている。

売上高、経常利益、当期純利益(包括利益)

毎期の売上高、経常利益、当期純利益(包括利益)を数字で並べると次にようになる。

(単位:百万円)
第24期 第25期 第26期 第27期 第28期 第29期 第30期
2009年10月 2010年10月 2011年10月 2012年10月 2013年10月 2014年10月 2015年10月
売上高 125,999 138,234 150,682 157,412 179,499 214,028 228,590
経常利益 576 2,843 3,582 4,710 4,012 6,147 8,477
当期純利益 244 948 1,755 2,124 2,929 2,328 4,174
包括利益 1,655 2,095 3,602 3,113 5,094
第31期 第32期 第33期 第34期 第35期 第36期 第37期
2016年10月 2017年10月 2018年10月 2019年10月 2020年10月 2021年10月 2022年10月
売上高 239,266 251,503 267,175 299,616 340,870 362,064 406,813
経常利益 8,729 15,778 15,831 19,434 23,646 29,087 32,125
当期純利益 4,560 8,346 1,0363 1,2056 1,5047 1,9592 2,0832
包括利益 3,070 8,034 10,514 11,652 14,250 20,086 21,876

売上高、当期純利益(包括利益)のグラフ化

視覚的に見やすくするために、売上高と当期純利益(包括利益)をグラフ化した。
すると、毎期売上高と当期純利益が下がることの年がない。

このように、神戸物産は毎期毎期安定して成長してる(そして今も)企業ということがわかる。
期待を込めた企業と言うわけではなく、毎期毎期実績を残している。
これがテンバガーになりゆる要因というのがわかる。

神戸物産の株価

それでは株価の推移はどのようなものだったのか。
見ていくことにする。

原株価

下記のチャートは、原株価の1か月終値の値を使って作った。
修正株価だと、当時の株価がわからないためである。

日付 06/6/30 06/10/31 07/10/31 08/10/31 09/10/30 10/10/29 11/10/31 12/10/31 13/10/31 14/10/31
終値 4,500 2,410 1,780 890 1,400 1,585 2,146 2,099 2,222 4,750
日付 15/10/30 16/10/31 17/10/31 18/10/31 19/10/31 20/10/30 21/10/29 22/10/31 23/8/31
終値 4,690 3,290 4,880 2,868 3,205 2,945 3,915 3,235 3,624

株式分割

神戸物産は、下記のように株式分割を行っている。

権利落日分割比率
20/10/291 : 2
19/10/301 : 2
18/10/291 : 2
15/10/281 : 2
15/1/281 : 2

原株価のチャートと株式分割

原株価のチャートと株式分割を行った場所を表すと次のようになる。

2008年のリーマンショックには、890円と安値を記録したがその後はうなぎのぼりである。
株価が下がった個所は1:2の株式分割を行ったためである。

財務分析

バフェットは、財務諸表から「経済的優位性を持つ企業」を説いている。
神戸物産は果たしてバフェットが説く「経済的優位性をもつ企業」に当てはまるか。

見る点として

  • 粗利率
  • 販売費及び一般管理費
  • 支払利息
  • 純利益

が挙げられている。
これらを見ていく。

10年間の財務諸表等

神戸物産の10年間の財務諸表は以下のようになった。
それでは、一つ一つ見ていく。

(1株当たり純資産は単位:円。その他は単位:百万円)

2013年2014年2015年2016年2017年2018年2019年2020年2021年2022年
売上179499214028228590239266251503267175299616340870362064406813
売上原価159940181837195431201467211055227402252486295671318940360217
売上総利益19559321913315937799404483977347130451994312446596
粗利率10.9%15.0%14.5%15.8%16.1%14.9%15.7%13.3%11.9%11.5%
販管費17602270132635625965258422405127891213471581218776
販管費率90.0%83.9%79.5%68.7%63.9%60.5%59.2%47.2%36.7%40.3%
営業利益19575178680311834146061572219239238522731227820
支払利息36450661872459250138031818186
支払利息比率18.6%9.8%9.1%6.1%4.1%3.2%2.0%1.3%0.7%0.3%
当期純利益292926014619475784021059411839141981959220832
売上高純利益率1.6%1.2%2.0%2.0%3.3%4.0%4.0%4.2%5.4%5.1%
1株当たり純利益332.84295.57270.12139.09245.67309.77173.08103.7971.6176.14

粗利率

粗利率は、10.9%~16.1%とかなり低い。
バフェットは、「粗利率40%以上の企業を永続的競争優位性をもつ企業」としている。

スーパーはどこにでもあるので、「競争の熾烈な業界に属している」ためといえる。
粗利率だけを見ると、「永続的競争優位性を持つ企業」とは言えないであろう。

(単位:百万円)

2013年2014年2015年2016年2017年2018年2019年2020年2021年2022年
売上179499214028228590239266251503267175299616340870362064406813
売上原価159940181837195431201467211055227402252486295671318940360217
売上総利益19559321913315937799404483977347130451994312446596
粗利率10.9%15.0%14.5%15.8%16.1%14.9%15.7%13.3%11.9%11.5%

販管費率

販管費率は、販管費÷売上総利益で算出する。
売上総利益に対し、どの程度の割合があるかをみるための指標である。

10年前は売上総利益に対する販管費の占める割合は90%だったが、毎期割合を減らし2022年では、40.3%まで下がっている。

バフェットは、永続的競争優位性を持つ企業を探すときは、販管費が低ければ低いほどよい。
またそれが一貫して低く保たれていればなおよい。としている。

この数字をみるとおり、「一貫して販管費の減少」が見られる。
企業の計画性と企業努力がみれる数字となっている。

販管費の数字からは「永続的競争優位性を持つ企業」に当てはまるのではないだろうか。

(単位:百万円)

2013年2014年2015年2016年2017年2018年2019年2020年2021年2022年
売上総利益19559321913315937799404483977347130451994312446596
販管費17602270132635625965258422405127891213471581218776
販管費率90.0%83.9%79.5%68.7%63.9%60.5%59.2%47.2%36.7%40.3%

支払利息

永続的競争優位性を持つ企業の大多数は、支払利息をほとんど、もしくはまったく計上していない、という事実をバフェットは突き止めた。

支払利息比率は、支払利息÷営業利益で、営業利益に対しどの程度支払利息が占めているかを表している。

数字を見るとおり、2016年までは増加しているが、その後年々減少している。
2013年では18.6%占めていたが、直近の2022年では支払利息比率は0.3%まで減少している。

支払利息の数字からも「永続的競争優位性を持つ企業」に当てはまるのではないだろうか。

(単位:百万円)

2013年 2014年 2015年 2016年 2017年 2018年 2019年 2020年 2021年 2022年
営業利益 1957 5178 6803 11834 14606 15722 19239 23852 27312 27820
支払利息 364 506 618 724 592 501 380 318 181 86
支払利息比率 18.6% 9.8% 9.1% 6.1% 4.1% 3.2% 2.0% 1.3% 0.7% 0.3%

純利益が右肩上がりか

バフェットは純利益が長期的に右肩上がりで推移しているかどうかを確かめる。
単年の純利益がどうかというのは、何の意味をなさないとしている。

また、永続的競争優位性を持つ企業は、競合他社に比べて、売上高に占める純利益の割合が高い傾向がある、としている。

当期純利益

当期純利益は、下記で見るとおり、長期的に右肩上がりで推移している。

売上高に占める純利益の割合

売上高に占める純利益の割合も、年々増加し、1.6%だったものが直近では、5.1%まで右肩上がりで上昇している。

支払利息の数字からも「永続的競争優位性を持つ企業」に当てはまるのではないだろうか。

2013年 2014年 2015年 2016年 2017年 2018年 2019年 2020年 2021年 2022年
当期純利益(百万円) 2929 2601 4619 4757 8402 10594 11839 14198 19592 20832
売上高純利益率 1.6% 1.2% 2.0% 2.0% 3.3% 4.0% 4.0% 4.2% 5.4% 5.1%
1株当たり純利益 332.84 295.57 270.12 139.09 245.67 309.77 173.08 103.79 71.61 76.14

神戸物産はなぜテンバガーを成し遂げられたのか

神戸物産は粗利率は、低かった。

しかし、

  • 販売費及び一般管理費比率が90%あったものが直近では40.3%と一貫して減少させている。
  • 支払利息は18.6%占めていたが、直近では、0.3%まで下げている。
  • 売上高純利益率は1.6%だったものが、5.1%まで一貫して増加している。

テンバガーになった要因は、競争の熾烈な業界に属しているが、行き当たりばったりの経営ではなく、「計画されつくされ」て、業績を伸ばした結果といえるだろう。

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